電気電子工学専攻修士課程2年 渥美瑛司さん(岡本吉史研究室)が韓国・済州で開催されたThe 21st Biennial Conference on Electromagnetic Field Computationにおいて、「Best Student Presentation Awards」を受賞しました。
2024/07/12
受賞者 :渥美 瑛司
共著者 :崔エノク(2023年度修了生)、山口俊輔(電気電子工学専攻 修士 2 年)、岡本吉史教授
受賞名 :Best Student Presentation Awards
受賞論文 :Development of MR-Sensor-Based Measurement System for Weak Magnetic Field Derived from Fuel Cell and Its Application to Inverse Estimation of Current Density Distribution
受賞会議名:The 21st Biennial Conference on Electromagnetic Field Computation
開催場所 :International Convention Center, Jeju, Korea
受賞日 :2024年6月5日
研究内容の概要:
固体高分子形燃料電池(PEFC)は、電気自動車や家庭用電源等への導入が進んでいます。 PEFC内部は膜電極接合体で構成されており、その電流密度分布は物質移動と密接に関係しています。電流密度分布の推定は、PEFC内部の現象解明の一助になることに加えて、その性能評価や動作不良時の原因特定に対して、大いに役立ちます。
渥美氏は、PEFCの外側の磁界を用いて、非破壊的にPEFC内部の膜電極接合体(MEA)における電流密度分布の推定を目的として、複数のMR(磁気抵抗)センサを実装した回路基板を設計・製作し、高速・高精度な磁界計測器の開発に成功しました。計測された磁界を、逆問題手法に入力することで、MEA内部の電流密度分布を推定できることを明らかにし、システム化への足掛かりが得られました。
この研究が期待される新しい技術、応用:
燃料電池は、再生可能エネルギーの余剰電力を効率的に貯蔵できるため、今後のカーボンニュートラル社会を実現する鍵となる技術と言われています。また、燃料電池は、災害時などにおける重要なインフラとなるため、燃料電池から負荷側への電力供給の安定化が必要とされています。
従来、燃料電池内部の状況をリアルタイムに把握する技法として、電圧測定部を内蔵した専用ボードが燃料電池内部に実装されていました。しかしながら、この方法では、燃料電池の筐体自体が大きくなり、設置場所の制約が増えることと、コストの増加が懸念されていました。その一方、渥美氏の開発した技術は、燃料電池外側の磁界の計測値を使用するため、筐体自体の大きさが変わることなく安価に実装できる利点があります。今後、当該技術の普及に伴い、再生エネルギーの貯蔵、災害時における電力供給の安定性向上に貢献できます。