研究室紹介
電子物性工学 研究室 / 栗山 一男 名誉教授
■ 研究室紹介
シリコンチップへ充放電可能な微小リチウム2次電池を埋め込み、微小ロボットなどの微小電気機械システム(Microelectromechanical system:MEMS)駆動用の電源開発を、ナノテクノロジーを駆使して研究しています。【MIT Technology review電子版: On-Chip Battery Debutsで検索できます】■ 研究テーマ
①シリコン基板への微小リチウム2次電池の埋め込み技術の開発。②紫外領域対応の新しい化合物半導体開発とレーザ励起による発光メカニズム解析。
③小型加速器を使用した青色発光材料・窒化ガリウム中の炭素等の軽元素位置の解析。
④中性子ビームを使用した窒化ガリウムへの電気的性質の均質化に関する研究。等々…
・Human hair サイズのリチウム2次電池(画像:ポーラスガラス電解質、米国物理学会速報誌に掲載)
■ 研究補助金、共同研究等
①のテーマは、科学研究費補助金(平成12年度-14年度『シリコン基板上へのリチウムイオン積層伝導薄膜の形成と物性評価』、平成15年度~17年度『シリコン基板埋め込みマイクロ二次電池内リチウムイオンの動的挙動のナノスケール評価』、平成22年-24年度『シリコンチップ埋め込み超微小リチウム2次電池の構成と高機能化に関する研究』など)、(財)熱・電気エネルギー技術財団(平成13年度)及び(財)矢崎科学技術振興記念財団(平成15年度)の研究助成を得て、③のテーマは本学イオンビーム工学研究所及び産業技術総合研究所との共同研究、④のテーマは京都大学原子炉実験所 の共同利用施設を利用し実施しています。■ 主な研究成果
① Cyclic surface morphology change related to Li ionmovement in Li secondary microbattery embedded in Si substrate: Atomic force microscopy studies, Appl. Phys. Lett. Vol.84, pp.3456-3458 (2004).②Hundred-micron-sized all-solid-state Li secondary battery arrays embedded in a Si substrate, Appl. Phys. Lett. Vol.81, pp.5066-5068 (2002).
③Evaluation of the interface of thin GaN layers on c- and m-plane ZnO substrates by Rutherford backscattering, Appl. Phys. Lett. Vol.99, pp.021909-1-3 (2011).
④Three hundred micron squared all-solid-state Li ion secondary battery fabricated by Si very large scale integration technology, J. Alloy & Compounds, Vol.551, pp 44-47 (2013)ほか
■ 実験設備
原子間力・走査型トンネル顕微鏡、フォトルミネッセンス測定装置、光吸収測定装置、レーザラマン分光装置、アルゴンイオンレーザ、ヘリウム-ネオンレーザ、固体レーザ、インピーダンスメータ等々…■ 卒業研究紹介
『電子物性工学研究室』は旧工学部時代の1978年に発足した35年の歴史を有する研究室です。卒業 研究は学部学生と大学院生とのペアーで行っています。《研究テーマ1》
現在最も精力的に行っているテーマは、“On‐Chip Battery”の研究です。世界最小のリチウム2次電池(充放電可能な電池)の開発です。コンピュータを含めた電子デバイスは軽量・小型化に向かって研究開発が行われていますが、電源そのものの小型化の研究を真剣に考えているグループは世界的にみても希少です。シリコンチップ内にマイクロ2次電池を組み込み、チップ内の超LSI(大規模集積回路)やバイオチップの電源(あるいはバックアップ電源)として使用するというもくろみ(夢)です。日本経済新聞(08年3月21日朝刊)に紹介されています。
現在最も精力的に行っているテーマは、“On‐Chip Battery”の研究です。世界最小のリチウム2次電池(充放電可能な電池)の開発です。コンピュータを含めた電子デバイスは軽量・小型化に向かって研究開発が行われていますが、電源そのものの小型化の研究を真剣に考えているグループは世界的にみても希少です。シリコンチップ内にマイクロ2次電池を組み込み、チップ内の超LSI(大規模集積回路)やバイオチップの電源(あるいはバックアップ電源)として使用するというもくろみ(夢)です。日本経済新聞(08年3月21日朝刊)に紹介されています。
・可視レーザ光による試作した半導体からのフォトルミネセンス測定
《研究テーマ2》
高密度メモリ記憶素子へのデータ書き込み・読み取り用の光源として注目されている“紫外光”発生用の新しい半導体である窒化アルミニウム(AlN)様結晶“Li3AlN2”などのリチウム系三元窒化物を作成し、結晶中のエネルギー状態などを明らかにするとともにリチウム2次電池の正極材料としての応用研究も行っています。これらの成果は、“半導体物理学国際会議”や“結晶成長国際会議”などで発表しています。
高密度メモリ記憶素子へのデータ書き込み・読み取り用の光源として注目されている“紫外光”発生用の新しい半導体である窒化アルミニウム(AlN)様結晶“Li3AlN2”などのリチウム系三元窒化物を作成し、結晶中のエネルギー状態などを明らかにするとともにリチウム2次電池の正極材料としての応用研究も行っています。これらの成果は、“半導体物理学国際会議”や“結晶成長国際会議”などで発表しています。
・世界で初めて観察に成功した、リチウム2次電池の電極表面のリチウム原子配列(原子間力顕微鏡像、米国物理学会速報誌に掲載)
《研究テーマ3》
携帯電話に使用される高周波領域に対応できる高速電子伝導性をもつ砒化ガリウム(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)に均一なドナー不純物を導入するために“原子核転換を利用した技術”を京都大学原子炉実験所の共同利用施設を用いて実施しています。半導体ウエハへのナノスケールでの均一な不純物ドーピングは素子が微細化するとともに電気特性の均質化が要求されています。レーザ励起による発光特性からエネルギー準位を明らかにしています。
携帯電話に使用される高周波領域に対応できる高速電子伝導性をもつ砒化ガリウム(GaAs)や窒化ガリウム(GaN)に均一なドナー不純物を導入するために“原子核転換を利用した技術”を京都大学原子炉実験所の共同利用施設を用いて実施しています。半導体ウエハへのナノスケールでの均一な不純物ドーピングは素子が微細化するとともに電気特性の均質化が要求されています。レーザ励起による発光特性からエネルギー準位を明らかにしています。
・1994年文部省大型助成で導入された走査型トンネル顕微鏡
《これから大学に入られる方へのメッセージ》
夢を実現して欲しい。 それには“夢をもち続けること”と“やる気”が重要です。当研究室は“やる気”を生み出す環境を用意しています。
夢を実現して欲しい。 それには“夢をもち続けること”と“やる気”が重要です。当研究室は“やる気”を生み出す環境を用意しています。
■ 授業紹介
電子物性論入門マイクロ・ナノエレクトロニクスの基礎となる物質中の電子の伝導現象を理解するため下記の講義を行います。ボーアの水素原子モデルとその応用、半導体中の不純物原子のイオン化エネルギー、半導体・金属のエネルギーバンド概説、固体中の原子間の結合、結晶構造とブラッグの回折条件、電気伝導と電子の散乱、電子の有効質量、周期的ポテンシャル中の電子波動関数など。
電子物性論
マイクロ・ナノエレクトロニクス分野 の基礎を学習します。電子物性論入門で講義した「物質中の電子現象」に関する基礎知識に基づき、誘電体、磁性体、超伝導等を中心に、エレクトロニクス素子の基礎物性および素子作成上重要な結晶作成技術について講義します。
光エレクトロニクス
マイクロ・ナノエレクトロニクスの基礎となる物質中の電子現象に関する基礎知識に基づき、下記の光エレクトロニクスの基礎を講義します。光導電効果、フォトルミネッセンス、エレクトロルミネッセンス、光検出デバイス、フォトダイオード、太陽電池、発光ダイオード(LED)、レーザの原理、半導体レーザ(LD)の原理、電気光学効果、二次高調波の発生(SHG)、電荷結合素子(CCD)など。
マイクロ・ナノエレクトロニクス
マイクロ・ナノエレクトロニクス分野の基礎となる物質中のマイクロ・ナノスケールにおける電子およびイオンの動的挙動について下記のテーマにしたがって講義します。半導体超格子デバイスの基礎と応用、量子ホール効果、超格子光デバイス、量子井戸レーザ、単電子デバイスなど。