研究室紹介
機能素子工学 研究室 / 柴山 純 教授
■ 研究室紹介
携帯電話では“電波”で情報のやりとりをします。インターネットでは“光波”による光ファイバ通信が基盤技術です。電波も光波も電磁波ですが、その中間にあるのが“テラヘルツ波”です。テラヘルツ波の発生や検知は比較的難しかったのですが、最近の技術革新によりその利用環境が整ってきました。当研究室では、電磁波の有効利用の観点から、テラヘルツ波帯~光波帯に渡る様々な機能素子の研究を行っています。また、これらの素子を効率よく解析するための時間領域手法の開発も行っています。■ 研究テーマ
1) テラヘルツ周波数分割器金属表面に溝を作ると、テラヘルツ波はその溝に沿って進んでいきます。溝の周期や深さを適切に選ぶことによって、必要な周波数のみを取り出すことが出来ます。図は、下部から入射したテラヘルツ波のうち1 THzと0.5 THzの波を取り出すデバイスの解析結果です。1 THzはデバイスの左側から、0.5 THzは右側から取り出すことが可能です。現在、周波数のさらなる多分割化が可能な素子の設計に取り組んでいます。
・テラヘルツ周波数分割器
皮膚にテラヘルツ波を照射し、戻ってきた反射波を観測することで、皮膚診断に応用出来ます。図は、健康な皮膚と、皮膚がんにテラヘルツパルスを当てた際の反射波のシミュレーション結果です。健康な皮膚と皮膚がんでは反射波形の異なっていることがわかります。この反射波形の差を検知することで、皮膚の診断が可能になります。
・テラヘルツパルスを用いた皮膚診断
電磁波を利用した機能素子の数値解析には、マクスウェルの方程式を時間領域で解き進める有限差分時間領域(FDTD: Finite-Difference Time-Domain)法が広範に用いられています。当研究室ではFDTD法の大きな欠点だった時間刻み幅の制限を、局所的一次元(LOD: Locally One-Dimensional)法と呼ばれる陰的手法を導入することで取り除きました。LOD-FDTD法は陰的なFDTD法の中で最も効率がよく、世界中の研究グループによって改良・拡張が進められています。海外の教科書にもたびたび取り上げられています。また、当研究室では他大学・研究所との共同研究も行っており、LOD-FDTD法の生体電磁界解析への応用にも取り組んでいます。
■ 研究成果、学会活動等
得られた成果を国内外の学会で積極的に発表しています。大学院生の多くは、海外での国際会議を経験します。写真は、最近の国際会議でのスナップです。また、これまでだれもが成し遂げていなかった成果が得られた場合には、権威ある論文誌に投稿し、国際的な評価を受けるようにしています。具体的な研究成果については、法政大学学術研究データベースをご覧ください。http://kenkyu-web.i.hosei.ac.jp/Profiles/17/0001656/profile.html
・発表前の緊張(台北での国際会議)
・発表風景(ストックホルムでの国際会議)
・発表後のバンケット(クアラルンプールでの国際会議)
■ 研究設備
2台の高性能ワークステーションと、8台のPCで研究を進めています。■ 研究室行事
当研究室では以下のような行事を行っています。5月:3年生新歓コンパ
7月:暑気払い
9月:夏合宿(4年生中間発表)
12月:忘年会
2月:卒論発表会打ち上げ
その他、親睦会や、有志でのレクリエーション(フットサル等)も行っております。
■ 学生へ一言
研究室の学びで多くの経験を!電気電子工学科では3年生春学期からゼミに所属します。
秋学期になるとPBLがスタートしますが、これは卒業研究と密接に結びついています。
PBLの課題が早く終了した学生には、すぐに卒業研究に取り組んでもらいます。
早めに卒業研究に着手することは、就職、大学院進学のいずれの道を進むにも大きなメリットになります。
研究の進捗状況を毎週のゼミで発表することにより、プレゼンテーションのスキルも高めていきます。
大学院に進学すると、研究成果を発表する多くの機会があります。
年2回開催される全国大会や、ほぼ毎月開催される研究会、海外での国際会議で発表するチャンスもあります。
これらを経験した学生は大きな自信を持って社会に出て行きます。
自信をつけるためには、多くの経験を積むことが重要。
学部生、大学院生にかかわらず、多くのチャンスを提供していきますので、ひとつひとつ自分のものにしていってください。